大阪百年史にも掲載されている”のぞきからくり”は今から320年前、寛永のころ名古屋で生まれたと云われています。
この庶民芸能は、大阪に移って初めて開花し、大正時代までは、上方の社寺の祭礼・縁日には欠かせない風物詩でありました。
今や、その大阪にも後継者はなく、縁日の境内で度々に語られていたいくつかの作品も、全国に分散した形となり、それも実演で語られることはなくなり、かろうじて地方の郷土資料館等に展示されているだけの現状であります。
大道芸でありながらも、皆の心をときめかせ、縁日の花形として存在していた、のぞきからくりの世界……。
製作・保存・維持がもはや不可能と云われる現代において、消えゆく“のぞきからくり”をなんとか後世に伝え残してゆきたい─! と私共は切に願い、2002年夏に“新版不如帰”をたずさえて22年ぶり復活のぞきからくりの口上語りとして、新聞・TV・ラジオ等で大きく取り上げられ、又、その後さらに2年の歳月を費やして練り上げられた“のぞきからくり”は、屋台組立てに近代的な手法を用い、かつ展開図の飾り絵には押絵・刺繍といった昔ながらの技法を加えました。
▲覗絡繰「不如帰詩」の台本